退職金御殿

今からもう24年前、純和風の新築の家が完成し家族3人での生活がスタートしました。当時私たち夫婦は25歳で共働きしていても普通のサラリーマンには程遠いちょっとした豪邸でした。家をプレゼントしてくれたのは主人の父です。どうも主人の父は婿養子なので一生に一度は自分の思いの家を建てたかったようです。ですから若者風の家でなく落ち着いた純和風の熟年夫婦の住まい的な雰囲気でした。
 その頃よく訪問販売がきて、玄関口に出ると若い未熟な私では相手にならないのか「おうちの方在宅ですか。」と決まって聞かれたものです。私が主の妻ですとも言っても信じてもらえませんでした。近所の人たちは内情を知っているので冷やかしで「退職金御殿に住んであんたは幸せだよ。お父さんに感謝知られ。」とよく言われたのを覚えています。父は家をプレゼントしたからと言って私たちの生活に干渉することなく自由に生活を送らせてくれました。
 今、当時の父と年代も変わらなくなりましたが自分たちが、自分の子供に家をプレゼントできるかとなればできないのが実情です。新築で住み始めた頃より、父が長年の労働で得た退職金を私たち親子に投じてくれた感謝の気持ちは今の方が一杯です。ですからいまでもよそ様の新築の家を見ると父への感謝の気持ちがこみ上げてきます。